レポートを書くときに必ず必要になるのが参考文献です。大学生にとってレポートは長期休暇前の最後の敵、なんていうイメージもあるのではないでしょうか。
そんなレポートに必要な参考文献、正しい方法で表記できているでしょうか。参考文献の必要性や書くべき項目、表記の方法をこの機会にぜひ確認しましょう。
参考文献の表記はなぜ必要か
参考文献はなぜ必要なのでしょうか。ただ「書きなさい」といわれても納得できない方も多いかと思います。
その必要性を理解するところから始めてみましょう。個人的には、参考文献の必要性は以下の3つだと考えています。
・レポートの信頼性と追跡のため
・図表やグラフを作成するため
・レポートの成績を維持するため
それでは、詳しく解説します。
レポートの信頼性と追跡のため
参考文献が大切な1番の理由は、レポートの信頼性を保障し、読み手がその情報源がどこかをわかるようにするためです。
アカデミックライティングとは|レポートの書き方や学術的文章をわかりやすく解説でも紹介していますが、レポートには文献が必要です。
その理由は、客観的で信頼できる理論を展開するためです。もし、文献を1つも使わずにレポートを書いたら
「そのレポートはあなたの想像ですか?」
なんてことをいわれても、文句は言えないのです。
だからこそ、「私はこのレポートで、この文献を根拠に理論を展開しました」という信頼性を出すために参考文献を表記します。
また、ときにはレポートで利用した文献がどんなものか確認したくなるときもあると思います。
卒業論文など、自分で論文を読むと、さらに詳しい情報源として、文献の情報が欲しくなるはずです。その元情報は何なのか、読み手が追跡するためにも参考文献の表記は必須なのです。
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図表やグラフを作成するため
レポート、あるいはプレゼンなどでは図表やグラフを使うことがあるかと思います。データを見せられたときに、何の情報か、どこの情報かがわかった方がよいのは明らかです。
もし、何も出典が書かれていなかったら、「その情報はどこのものなの?」と読み手や聞き手に疑われてしまうのです。
文章の引用や参照としての参考文献の表記ももちろん大切ですが、図表やグラフでも文献が書かれているかどうかでその説得力は大きく変わってくるのです。
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レポートの成績を保つため
学部生にとっては、これが一番大切かもしれません。大講義室で大人数で受ける授業のレポートを先生がすべてじっくり見ているかというと、必ずしもそうとは限りません。
ですが、参考文献の表記方法については、目を光らせてみている可能性が高いです。そして、その表記が正しくなされているかどうかで点数に大きな差が出てきてしまいます。
私の経験談ですが、何を書いているのかわからないようなレポートを提出したことがありました。
80点と書かれてフィードバックを受け取ったのですが、そこには「内容は問題ありません。参考文献の表記は確実に行いましょう」と書かれていました。
参考文献の表記を正しくしていれば限りなく100点に近かったのです。
特に学部生の一般教養のレポートにおいて、参考文献の表記方法は減点ポイントになり得ます。ぜひ正しい表記方法を覚えて、点数の取りこぼしのないようにしましょう。
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参考文献の書き方
それでは、ここからは実際に参考文献の書き方を解説します。
今回この記事で扱うのは日本語の文献です。英語や外国語の文献の表記方法を知りたい方は、【英語・外国語の参考文献の書き方】本、書籍・論文・インターネットのURLの表記方法も解説で解説しているので、そちらを参照してください。
なお、参考文献の表記方法は担当する先生や学問分野によってブレがあります。ここで紹介する書き方は減点をされることはない書き方ですが、先生から指示があった場合はそれに従ってください。
基本は各項目を「,(カンマ)」で区切り、最後に「.(ピリオド)」を打って終わりを示す方法で統一します。解説するのは、以下の文献です。
・本
・論文
・インターネットの記事、URL
・政府統計、e-Stat
・新聞記事、電子新聞
本、書籍
まずは、参考文献の基本である本、書籍です。
必要な情報は以下の通りです。
・著者または編者
・『本のタイトル』
・出版社
・出版年
・ページ(引用の場合)
これらの情報を順番に「,」カンマで区切りながら書き、最後に「.」ピリオドをうちます。これらの要素を使って表記すると次のようになります。
著者(編者名, 編), 『本のタイトル』, 出版社, 出版年, ○ー○頁.
具体的に本を使って表記すると次のようになります。
文献情報のみ
村上道夫, 『基準値のからくり』, 講談社, 2014.
引用
村上道夫, 『基準値のからくり』, 講談社, 2014, 50-60頁.
注意点は以下の通りです。
・本のタイトルには『二重カギ括弧』を使う
・編者がいる場合は編者名のあとに「, 編」を追加する
・引用した場合はページを表記する。引用ではない場合はページは不要
・「,(カンマ)」のあとに半角スペースを入れると見栄えがよくなる
余談ですが、ページを書くときに「頁」という漢字を使っています。「pp.○-○」という表記もよく見るので、こちらを使っても問題ないと思います。
英語では「p.」や「pp.」を使い、これは書籍の言語によって異なります。そこにこだわって、ここでは「ページ」を日本語である「頁」を使っています。
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論文
論文を参照する場合は本、書籍とは異なる表記方法が必要になります。
必要な情報は以下の通りです。
・著者
・「論文のタイトル」
・『論文が掲載されている雑誌・論集のタイトル』
・編者の名前(論集の場合)
・巻号
・出版社、出版年(論集の場合)
・ページ
表記する論文の母体となっている雑誌や論集も参照して書誌情報を埋めましょう。まずは比較的単純な雑誌に掲載される論文の表記方法です。
雑誌に掲載される論文の参考文献の表記
著者, 「論文のタイトル」, 『論文が掲載されている雑誌のタイトル』, 巻号, ○ー○頁.
次に論集の場合です。どちらかといえばこのケースが多いです。
論集に掲載される論文の参考文献の表記
著者, 「論文のタイトル」, 編者, 編『論文が掲載されている論集のタイトル』, 巻号, 出版社, 出版年, ○ー○頁.
注意点は以下の通りです。
・論文のタイトルは「かぎかっこ」で表記する
・論文が掲載される母体の雑誌や論集は『二重かぎかっこ』で表記する
・本、書籍とは異なり引用でなくてもページを表記する
・引用の場合は別途特定のページを表記する
論文は、それ単体で発行されることは少なく、別の論文と一緒に雑誌や論集として発行されます。
そのため、該当論文がその雑誌の何ページにあるのかは示さなければなりません。
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インターネットの記事、URL
学部生の一般教養のレポートでは、どちらかというとインターネット上の記事を使うことが多いかと思います。
信頼性を吟味した上で、適切な表記をしましょう。必要な情報は以下の通りです。
・執筆者(組織名)
・「記事のタイトル」
・記事の発行年
・<URL>
・閲覧日
インターネットの記事の情報をURLだけですませる人が多いのですが、それは御法度です。正しい表記を心がけましょう。
具体的に表記すると以下のようになります。
インターネット記事のの参考文献の表記
執筆者(組織名), 「記事のタイトル」, 記事の発行年, <URL>, (○月×日閲覧).
注意点は以下の通りです。
・記事のタイトルは「かぎかっこ」で表記する
・URLは分かりやすいように<>で囲う
・ネットの情報は日々更新されるため、閲覧日を表記する
・組織名や発行年など、分からない情報がある場合は「執筆者不明」、「発行年不明」と表記する
インターネットの文献をURLの表記だけで済ませてしまう人って本当に多いです。
ネットの情報は書籍と違って簡単に書き換えられてしまいます。レポートを書いたときとページや内容が異なることは普通にあります。
タイトルや閲覧日などを必ず添えて、いつどんな名前の記事にアクセスしたのかは必ず書くようにしましょう。
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政府統計、e-Stat
信頼性の高い統計調査である国勢調査をはじめとした政府の資料の引用は、e-Statのホームページに表記の例が示されています。
ページをどのようにたどったかがわかるように示す必要があるようです。必要な情報は以下の通りです。
・「政府統計の総合窓口(e-Stat)」の文言
・たどったページ
・調査名
・実施機関
・「調査項目」
これらの情報を次のように表記します。
e-Statの参考文献の表記
「政府統計の総合窓口(e-Stat)」、調査項目を調べる-調査名, 実施機関「調査項目」.
政府のホームページには上記のように表記する例があげられていますが、今までの文献の表記法と同様に
e-Statの参考文献の表記
実施機関, 「調査項目」, 調査名, 公開日, (ウェブサイトの場合は閲覧日).
このように表記しても問題ないと思われます。
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新聞記事、電子新聞
実際の新聞、データベースの記事を参考文献として用いることも多いかと思います。
必要な情報、書き方は論文のものと似ています。必要な情報は以下の通りです。
・著者(分かる場合のみ)
・「記事のタイトル」
・『新聞名』
・発行日
・刊や版(朝刊か夕刊かなど)
・ページ
これらの情報を次のように表記します。
新聞記事の参考文献の表記
著者, 「記事のタイトル」, 『新聞名』, 発行日, 朝刊(または夕刊),○頁.
電子版の新聞記事を利用した場合はインターネット記事の書き方にならってURLや閲覧日を記入します。
電子版の新聞記事の参考文献の表記
著者, 「記事のタイトル」, 『新聞名』, 発行日, 朝刊(または夕刊),○頁, 電子版, <URL>, (○○○○年○月×日閲覧).
また、データベースの場合はデータベース名と閲覧日を記入します。
新聞データベースの参考文献の表記
著者, 「記事のタイトル」, 『新聞名』, 発行日, 朝刊(または夕刊),○頁, 電子版, データベース名,(○○○○年○月×日閲覧).
参考文献の表記は正確にしよう
先ほどもお伝えしましたが、参考文献の表記方法はそのレポートの成績を決めてしまうこともあります。
いずれにしても、卒業論文などでは、大量の文献を書かなければならないので、早めに表記方法を覚えて損はないはずです。ぜひ、普段のレポートから正しい表記を心がけてください。
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