アカデミックライティングという言葉をご存じでしょうか。レポートの文章の書き方として大学から雑に説明がある「あれ」です。
多くの大学では「アカデミックライティング」や「レポート・論文の書き方」という名前で資料が発行されていますが、読んだことがあるでしょうか。私ももちろん読んだことがあり、それをもとにレポートを書いてきました。
一度そのような資料を読んだことがある方なら分かるかもしれませんが、あの資料、何だか読みにくいのです。もっと分かりやすく、簡潔にまとめてほしいものです。
そこで、いくつかの大学のアカデミックライティングの資料を要約しながら解説してみたいと思います。楽しく、わかりやすくをモットーに、ユズナギの2人にも登場してもらって解説してもらいます!
アカデミックライティングの前に:なぜレポートを書くのか
大学の勉強と高校までの勉強の違いは何でしょうか。個人的には「答えが見えているかどうか」ではないかと思います。
だから、高校まではひたすらテストを繰り返して、答えのある問題にチャレンジし続けていました。しかし、大学に入るととたんにレポートが増えて、答えがはっきりしない課題に取り組むのです。
高校までは常に答えがあるのが当たり前の世界でした。しかし、大学は違います。
教科書に書かれていないこと、教科書すらないものを探求し、ときには今まで教科書に書かれていた「当たり前」と食い違う結論にたどり着くこともあります。大学はそんな世界なのです。
では、そんな「正解のないこと」について、どうやって成績をつけるのでしょうか。テストでそれをはかるのは少し無理があるように感じます。
そこで、自分なりに「問い」や「答え」を設定して、それを説明してもらって判断しなければならないのです。では、そのためにどうするのか……レポートしかないですよね。
英語を勉強しないのはもったいない!
アカデミックライティングとは
そん なに難しく考えないで! アカデミックライティングって実はこれだけのことなんだ!
これだけ! アカデミックライティングの根幹
1.わかりやすい文章であること
2.客観的な文章であること
3.感想文ではないこと
もちろん、「感想文を書きなさい」というレポートの場合はこの限りではありませんが、基本的にはこの作法に従って文章を書きます。
といっても、これだけでは分かりにくいと思うので、ここからさらに具体的に解説します。
ポイント
・アカデミックライティングは「1.わかりやすく」、「2.客観的で」、「3.感想文ではない」文章の書き方である。
この記事では取り扱っていない、感想文タイプのレポートの書き方はポケモンの映画を見て書いた大学のレポートで超基本をマスターしよう!で解説しています。ぜひご覧ください。
アカデミックライティングのルール:コピペ厳禁
アカデミックライティングのルール:コピペは絶対にしない
インターネット上の文書を含む、あらゆる文献を無断、引用などの表記なしにコピペすることを剽窃といいます。
コピペ・剽窃禁止は絶対のルールなので、絶対にしないようにしましょう。学問の世界の重大犯罪です。
その授業の単位がなくなるのはもちろん、場合によってはその学期のすべての単位が無効になります。
ポイント
・コピペ、剽窃は厳禁
コピペ厳禁はあくまでも本文の話。参考文献など、上手にコピペを活用すればレポートはもっと早く書けます!
【参考文献を早く書く方法】 大学のレポートをコピペを駆使して効率良く書こう
アカデミックライティングは資料や文献を参照・引用する
コピペは厳禁。では、すべて自力で文章を書くのか、といったらそうではありません。先ほど取り上げた
1.わかりやすい文章であること
2.客観的な文章であること
3.感想文ではないこと
これらにすべて答えるためには文献が必要なのです。
何も文献を使わずにレポートを書いても、それは単なる意見文に過ぎません。これでは、アカデミックライティングの作法の「客観的な文章であること」に答えられないのです。そこで、文献を使うのです。
もちろん、文献を参照するので、何かの本や論文、インターネット上の資料を使うことになります。しかし、何も表記せずにコピペした場合、これは剽窃になってしまいます。
そこで、「引用」という形で、誰のどんな文献の情報かを堂々と表記して文章を組み立てるのです。
ポイント
・文献の力を借りて文章を書く
・そのとき、正しく引用や表記をする
じゃあ、資料や文献はどうやって集めるのか。最初だとなかなか難しいと思います。レポートに必要な資料・情報の集め方のおすすめ|探し方やポイントも紹介では効率良く情報を集める方法を紹介しているので、合わせてご覧ください。
アカデミックライティング:文章の書き方
アカデミックライティングの書き方の特徴
・「問い」と「答え」を書く
・根拠と論理的な説明をする
・序論、本論、結論の三段構造で書く
・パラグラフ構造で文章を書く
・おかたい文章で書く
・正しく文献や引用の表記をする
アカデミックライティングの文章の特徴はこのようになります。といっても、これだけでは伝わらないと思うので、各項目を順に説明していきます。
「問い」と「答え」を書く
レポートの指示文がどのようなものであっても、アカデミックライティングでは「問い」と「答え」を設定し、それを論証しながら文章を進める、という形式をとります。
そのためには、まず「指示を分解する」というプロセスを踏み、「問い」と「答え」を設定します。
指示を分解する
「○○について論じなさい」という指示を読みかえて、問いを立てます。例えば、「日本の大学教育について述べなさい」と指示されたのであれば、
・日本の大学教育の問題点は何か
・高校とは違う大学教育の特徴は何か
のようにテーマを少し深掘りして読み替えてみましょう。これが「問い」です。
ここに自分なりの答えを付け足して、指示を整理します。その「問い」に対して、文献の力を借りながら、自分の「答え」に導いていくこと、これがレポートで求められていることです。
ポイント
・指示文を読みかえて、「問い」をつくる
・「問い」に対して自分なりの「答え」を設定する
根拠と論理的な説明をする
レポートは「問い」と「答え」、だからといって当然それだけで終わるわけにはいきません。文字数が少なすぎますし、説得力が皆無なのです。これでは、アカデミックライティングの作法である、
2.客観的な文章であること
これに答えられないのです。そこで、根拠となり得る文献を探すのです。
その根拠は書籍の中の記述、数値データ、実験、フィールドワークなど様々です。
この文献の力を使って論理を組み立てることで、「1.わかりやすく」、「2.客観的で」、「3.感想文ではない」文章ができあがるのです。
ポイント
・文献を使って、客観性のある理論を展開する
序論、本論、結論の三段構造で書く
ポイント
・基本は序論→本論→結論の三段構造で組み立てる
・本論で「問い」と「答え」を説明する根拠に使える文献、データ、資料を抽出する
レポートの構成を考えましょう。序論、本論、結論などは一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。各項目でどのような書き方をするのか、順に説明します。
序論:「問い」と「答え」を書く(導入)
序論では「このレポートで私は何をするのか」を書きます。具体的には「問い」、「問い」の背景を加え、「答え」も紹介してしまいます。
日本語の構造的に「答え」は最後に持ってくることが好まれますが、特別不自然にならない限りは冒頭で「答え」も書いてしましましょう。
ポイント
・「問い」と「答え」を示す
・このレポートでしたいことを示す
本論:なぜ「問い」が「答え」のようになるのかを示す(論証)
本論では資料をもとにいえることを書き出し、考察を行います。この課程が論証にあたります。
卒業論文など長い文章の場合はこの部分で論証で用いる資料の紹介、考察方法の説明も行います。
高度ではありますが、実は同じ「問い」と「答え」を提示して、同じ資料を与えれば、誰でもほとんど同じような文章が書けてしまうのです。この自然さのレベルが高ければ高いほど客観的な文章といえます。
ポイント
・文献をもとにいえることを記述して論理を展開する
・「問い」がなぜ「答え」になるかを示す
結論:レポートの内容をすべて回収しながらまとめる(まとめ)
結論、つまりは総まとめです。本論のことを簡潔にまとめ、再び自分の「答え」を提示すれば全体が締まります。レポートのレベルによっては調査の限界や今後の展望を書いてもよいでしょう。
ポイント
・主張したことをすべて回収しながら簡潔にまとめる
この理論だけではまだまだ抽象的なので、実際にどんな文章の書き方をするのかを説明しながら、詰めていきます。
パラグラフ構造で文章を書く
実際に文章を書くときにはパラグラフライティング、つまり段落を意識した書き方をします。それぞれの段落には、以下の要素が含まれます。
・見出しがつけられる
・トピックセンテンスが含まれる
・トピックセンテンスに関連する情報が書かれる
○トピックセンテンス……
段落での主張を簡潔にまとめた1文のこと。たいてい最初にくる。
順にかみ砕いていきます。
まず、それぞれの段落には見出しがつけられるような内容を書きます。つまり、その段落でしたいこと、言いたいことが一言で表せるようになっていなければならないのです。
また、その段落で言いたいことを簡潔にまとめた1文が最初に書かれ、それを補強するような関連情報があとに続いて論理が展開されます。
ポイント
・各段落は見出しがつけられる文章を書く
・各段落の最初の1文にはその段落で言いたいことを簡潔にまとめた文章を書く
・最初の1文に書いたことを補強する文章を、文献の力を借りながら書く
おかたい文章で書く
このブログの文章のような「~です。」「~ます。」「~でしょうか。」ではなく、「~である。」「~だろうか。」という書き方をします。
また、1文1文が長くなりすぎないように注意しましょう。1つの文章に1つの主張を入れる、一文一義を意識できるとベストです。
ポイント
・いわゆる「かたい」書き方をする。
「~である。」「~だろうか。」などをよく使う。「~だ」は避けた方が よいとされることがある。
・一文一義(一つの文章に一つの主張や意見)を意識する
・特に論証部を中心に「思う」「だろう」などの主観が混じりそうな 表現は避ける
正しく文献や引用の表記をする
レポートに使用した文献は正しく表記し、文中で引用をするときも適切な作法で引用をします。正しく行わないと剽窃となってしまうので、注意が必要です。
参考文献の書き方は参考文献の書き方は大丈夫? URLだけはNG? レポートを書く大学生は要チェック!で解説しているので、合わせてご覧ください。
また、英語など、外国語の参考文献の書き方は英語・外国語の参考文献の書き方 本、書籍・論文・インターネットのURLの表記方法も解説で解説しています。
アカデミックライティングはレポートの基本
慣れないうちは大変なアカデミックライティングですが、大学生のレポートの基本です。
卒論など、大がかりなものになるとより細かい作法が必要になります。学部生の簡単なレポートのうちからアカデミックライティングに慣れて、書き方を覚えてしまいましょう。