レポートを書くときには、いきなり文章を書き始めるのではなく、構成メモを書くことをおすすめしています。
もちろん、文章が短い場合やレポートになれている場合は必要ありませんが、最初のうちは構成メモを準備した方が執筆がスムーズです。最初はどんなことを書いたらいいのかわからない構成メモ。
この記事では構成メモの必要性や書く項目、具体的な書き方などを紹介します。
レポートを書くときの構成メモとは
一言で説明すると、「レポートに書くことの要点を整理したもの」になります。あとでも詳しく説明しますが、まずは論より証拠。具体的にはこんな感じです。
基本的にはレポートの本文を書く前に作成し、レポートの構成にのっとって、書くべき内容を整理します。
このように箇条書きで要点を整理し、実際に文章を書くときはこれらの項目に文章を肉付けします。あくまで「メモ」なので、自分がわかる程度に最低限の情報が書かれていれば問題ありません。
レポートの構成メモの必要性
では、そんな構成メモ。
私自身も長めのレポートを書くときにはいつも書くようにしています。慣れてしまえば構成メモなしでもレポートが書けてしまいます。
ですが、慣れないうちはぜひ利用してほしいもの。そこで、主にレポートの初心者が構成メモを書くメリットを紹介します。
構成メモを書くメリット
・レポートが早く書ける
・「問い」と「答え」がはっきりする
・レポートの三段構造がわかりやすい
・論理展開がわかりやすくなる
・骨格→肉付けのプロセスをたどれる
・情報の取捨選択ができる
・字数の検討がつく
レポートが早く書ける
そんな気持ちはよくわかります。
しかし、文章を書き始める前に構成メモを作っておくと結果的にレポートが早く書けます。一見二度手間のようにも思えますが、あとから紹介するように、レポートが書きやすくなります。
結果的にスムーズにレポートが書けるようになり、質もあがります。個人的には、レポートの構成メモがあるかないかで、レポートの文章そのものにかかる時間は半分くらい変わってくるのではないかと思います。
質の高いレポートを早く書くためにも、ぜひ構成メモを書くようにしましょう。
レポートのテンプレを理解すると格段に早く書けます。
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「問い」と「答え」がはっきりする
アカデミックライティングとは|レポートの書き方や学術的文章をわかりやすく解説でも紹介しているとおり、レポートでは必ず「問い」と「答え」を示し、論理を展開します。
構成メモを書くときは、必ずその「問い」と「答え」を前提にして、項目を整理します。そのため、レポートの中で立てた「問い」と導きたい「答え」が明確になります。
構成メモなしでレポートを書いていると、どうしてもこの「問い」と「答え」が不明瞭になりがちです。レポートでは必須である「問い」と「答え」を読み手に確実に伝えるためにも、構成メモでも明確にマークしておきましょう。
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レポートの三段構造がわかりやすい
「レポートは三段構造」なんてことを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは論理をつかって読み手に伝えるうえで、理解されやすい形式だからです。
慣れていないと、この三段構造が不明瞭になりがちです。そこで、構成メモを使って序論・本論・結論に何を書くのかを整理しておきます。すると、実際に文章を書くときにも、序論・本論・結論で書くべきことを意識しながら論理展開ができます。
また、読み手にも自然に伝わる三段構造が書けるので、自分のためにも、読み手もためにも構成メモは必須であるといえます。
論理展開がわかりやすくなる
関連して、構成メモを書くとレポートの論理展開がわかりやすくなります。
先ほどとりあげた序論・本論・結論の三段構造はレポート全体の論理展開です。それに加えて、特に本論での論理展開をわかりやすくするために構成メモが役に立ちます。
レポートは「問い」がなぜ「答え」になるのかを示す文章です。そのためには文献や実験などの根拠が必要になります。どの問題や疑問に対して、何の根拠資料が必要かを整理しておくことで、自然に論理が展開できます。
通常、一つの「問い」をいくつかの要素に分解してそれぞれにアプローチします。どのような方法や根拠資料が必要かを整理できるので、自分でも書く内容がすっきりし、説得力のある文章ができます。
ポケモンの映画でもレポートが書けます。
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骨格→肉付けのプロセスをたどれる
レポートは骨格を決めて、それに肉付けをするプロセスをたどるとスムーズです。
事前におおかた書く内容を決めておき、それに文章で補足や解説を加えるといった要領です。
構成メモをつくる課程は、そのままレポートの骨格をつくる作業になります。構成メモで書いた内容をそのまま序論・本論・結論や本論の段落に当てはめていくと、レポートの骨格が完成します。
あとは、それぞれに根拠資料などを使って文章で補足や解説をして肉付けをしていけば、自然な文章が書けます。
これができると文章を書くときにかなり楽になります。そのためにもぜひ構成メモを使って項目を整理しておきましょう。
気になるこのトピック。検証しました。
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情報の取捨選択ができる
構成メモでは、本論部分でどの情報や根拠資料を使うかを決めます。
レポートを書くまでにいくつかの情報を調べるかと思いますが、論理を展開するうえで、本当に必要な情報かを選択します。
「答え」の示し方が比較的はっきりしている場合は、先に構成メモを書いてしまいます。そのうえで、どんな根拠資料が必要かを判断し、効率良く情報を集めることも可能です。
いずれにしても、論理展開で本当に必要な情報が何かが明確に整理できるので、質の高いレポートができます。
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字数の検討がつく
多くの学生さんは、レポートの最低字数を超えることを目標にレポートを書くのではないでしょうか。
構成メモをつくると、字数のおおよその検討がつきます。書くべき内容の取捨選択ができるので、実際に文章を書くときに追加や削除をして字数を制限することもできます。
レポートの構成メモで書く項目
では実際に構成メモで書く内容にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に必要な情報とその内容をまとめました。
のちほどこれを元に実際の構成メモの書き方を紹介するので、まずは大枠を理解してください。
・「問い」と「答え」
・「問い」の分解
・分解した「問い」の考察
・考察からわかること
「問い」と「答え」
アカデミックライティングとは|レポートの書き方や学術的文章をわかりやすく解説でも紹介しているとおり、レポートは「問い」と「答え」の文章です。
レポートの中にもそれらをわかりやすく示し、論理を展開するためにも、まずは「問い」と「答え」を整理します。
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「問い」の分解
「『問い』の『答え』は○○である。」では、文章は一瞬で終わってしまい、説得力がありません。
レポートではなぜ「問い」が「答え」になるのかを多角的に客観的に分析します。そこで、「問い」を解決すべく、「問い」をいくつかの要素に分解します。冒頭の例では、
地球温暖化の影響は何か?
この「問い」に対して、
・地球温暖化で氷が溶けて海水が増えるのか?
・ツバルなど、実際に海抜の低い島が消滅するのか?
・将来的に気温がどのように変化し、海抜の低い島は消滅する可能性が高いのか?
これらの3つの方面から、「問い」に対する「答え」である
海面上昇により、海抜の低い島が消滅する
このことを示します。
詳しい分解方法は後述しますが、「答え」を導くために必要な要素をリストアップすると考えてください。
分解した「問い」の考察
次に、前の項目で立てた「分解した問い」についての考察を考えます。それぞれの「分解した問い」に対して、
・どんな資料が必要か
・その資料から何が言えるか
この二点を整理し、箇条書きします。
レポートで徹夜しないセルフマネジメントを教えます。
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考察からわかること
最後に、考察からわかることをまとめます。
本当に冒頭で書いた「問い」は考察によって「答え」であるといえるのか、考えてみましょう。ここで自然に理解できるのであれば、構成メモは完成です。
レポートの構成メモの書き方
それでは、ここから具体的に構成メモの書き方を解説します。
具体例があるとわかりやすいかと思うので、冒頭でもあげている、地球温暖化をテーマに進めます。
課題例
地球温暖化について、授業で習ったことを参考にしつつ、2000字程度で論じなさい
この課題を具体例にしつつ、構成メモの書き方を解説します。大まかな流れは、前述の「構成メモで書く項目」にのっとって進めます。
・「問い」と「答え」を整理する
・「問い」の分解して列挙する
・分解した「問い」にアプローチし、考察内容を整理する
・考察からわかることを整理する
「問い」と「答え」を整理する
レポートでは、課題の指示文がどのようなものであっても、それをもとに「問い」と「答え」を立てます。
構成メモでは最初にこの「問い」と「答え」を整理しましょう。今回は、
地球温暖化について、授業で習ったことを参考にしつつ、2000字程度で論じなさい
というテーマについて、次の「問い」と「答え」を立てたとします。
問い:地球温暖化の影響は何か
答え:海面上昇により、海抜の低い島が消滅する
このように、レポートの中で扱いたい「問い」とそれに対する「答え」を整理します。
ポイント
・「問い」と「答え」を最初に書く
「問い」の分解して列挙する
次に「問い」を分解します。
レポートの中で「問い」に答えるといっても、直接的に答えるのは簡単ではありません。仮説や証拠となりそうな考えをあげます。
地球温暖化の影響は何か。この「問い」に対しては、次のように分解してみました。
「地球温暖化の影響は何か」を分解すると
・地球温暖化で氷が溶けて海水が増えるのか?
・ツバルなど、実際に海抜の低い島が消滅するのか?
・将来的に気温がどのように変化し、海抜の低い島は消滅する可能性が高いのか?
ここにあげたものは一例です。実際に「問い」を分解するときは、これを示したら「問い」が「答え」であることを示せそう、というものをセレクトします。
まだ有効な資料が見つかっていない場合も、とりあえず思いつくものを書いてみましょう。
ポイント
・「問い」をいくつかの要素に分解する
・「答え」に結びつきそうなものをセレクトする
「分解した問い」にアプローチし、考察内容を整理する
前項目で定義したものを「分解した問い」とよぶことにします。
次はこの「分解した問い」について、どのようにアプローチするか、どんな考察ができるかを整理します。具体例を使って考えてみましょう。
・地球温暖化で氷が溶けて海水が増えるのか?
この「分解した問い」はどのような資料があると証明できるでしょうか。例えば、
・地球温暖化で気温が上昇しているデータ
・気温上昇に伴って、南極などの氷が溶けているデータ
これらの客観的な資料があれば、この「分解した問い」に答えられるはずです。これをもとに、さらに考察を加えます。
・実際にどれくらい海面が上昇したかを示すデータ
これを示せれば、1つめの「分解した問い」である、
・地球温暖化で氷が溶けて海水が増えるのか?
これにおおよそ「答え」が出せるはずです。同じ要領で、ほかの「分解した問い」についてもアプローチや考察方法を書きましょう。
データや資料については、すでに調べて検討がついているものを使うこともできますし、先に構成をつくってから調べることもできます。
ポイント
・「分解した問い」を示す資料を示す
・資料をもとに「分解した問い」について考察する
考察からわかることを整理する
いくつかの「分解した問い」からわかることを整理します。
それぞれの「分解した問い」が最初の「問い」を適切に分解したものであれば、自然と「答え」の根拠になっているはずです。具体的に書く内容としては、
これで「答え」の「海面上昇により、海抜の低い島が消滅する」
と書けば大丈夫です。まとめとして、今まで整理してきた内容が「答え」につながっていることが意識できれば問題ありません。
ポイント
・今まで整理したことが「答え」につながることを確認する
構成メモに従ってレポート文章を書く
構成メモができあがったら、それをもとに文章を書きます。
流れで書いてきた構成メモは、そのままレポートの序論・本論・結論の三段構造に対応するように作られています。
・「問い」と「答え」→序論
・「問い」の分解→序論・本論
・分解した「問い」の考察→本論
・考察からわかること→結論
また、各項目でまとめてきた内容は、それぞれ段落(トピック)に対応するように作られています。
構成メモでまとめてきた内容がそのままレポートの骨格になるので、あとはそこに文章で肉付けをするとまとまります。
ここで使うのがパラグラフライティングとよばれる文章の作法です。パラグラフライティングについては別の記事で解説するので、そちらを参照してください。
この構成メモに従って肉付けする要領で文章を書くと、筋の通ったわかりやすいレポートが書けます。最初のうちは構成メモを書くのにも苦労すると思いますが、ぜひ書き方を覚えて、要領よくレポートを書けるようになりましょう。