レポートに悩む大学生多いことはいつの時代でも変わらないと思います。
以前から 【書評レポートの書き方】大学生必見!本の読み方やテンプレも分かりやすく解説 をはじめレポートの書き方に関する記事を多く公開してきました。
書評レポートも十分苦労すると思うのですが、大学生が最も頭を悩ませるレポートが「抽象的すぎて何を書いたらよいか分からない難しいレポート」ではないでしょうか。
授業の内容が抽象的で難しい、レポートの指示が抽象的、そもそも哲学のように抽象的な分野である、など様々な背景があるかと思います。
そこで今回は抽象的で難しいレポートの書き方を実際に私が大学で提出した文章を使いながら解説します。
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抽象的で難しいレポート
今回私が受けていた授業は、科学技術の現代社会への応用に関する内容がメインの内容でした。
ある意味では文理融合型の授業かもしれません。学部3年生以上、受講生の大半が大学院生ということもあり、内容は非常に難しく、ほとんど理解できませんでした。
授業の内容がとにかく抽象的だったのです。
科学の定義、技術の定義などは哲学的な解釈が加わり意味不明。
遺伝子組み換え、デモ運動などまったく専門外で先生に言っていることも意味不明。
そんな終始クエスチョンマークだった授業でレポート課題が課されたのでした。
今回取り上げる「抽象的なレポート」の指示文は以下の通りです。
- 授業全体を通して特に興味をもったことについて以下の2点で考察する
ー問題提起:何に興味を持ったか、どのような内容であったか
ー議論 :その問題についてどのように考えるか
- 字数は4000字程度
レポートの指示自体は至ってシンプルなのですが、いかんせん授業の内容が抽象的すぎて、何を議論したらよいのかわからない、という問題が生じました。分からなかったことをどのように説明してどう考えたかを語らなければならないのです。そして字数は4000字。学部生で4000字となればかなり手強い部類に入るでしょう。
また、指示文には書かれていませんが、いわゆる一般教養の授業ではなくかなり高度で専門的な内容であったので、信頼のある参考文献をつけなければなりません。
今回のレポートは難易度高めです。もっと基本的なレポートの書き方が知りたい方はこちらをチェック!
科学の「安全」と市民の安全
講義を通して科学における「安全」と市民の安全に対する理解に関心を抱いた。この二つの間には解離があり、身近な「安全」も市民の考える安全とは異なる可能性があると考えた。まずは科学における「安全」と市民の理解の支えになると考えられる「科学技術への市民参加」の二点の内容を整理する。
まず、科学における「安全」について整理する。国際的な安全規格に関する「ガイド51」によれば科学における「安全」は「許容できないリスクがないこと」と定義されている。この定義をもとにまずは科学における「安全」がどのようなものかを明確にする。
安全を確保するプロセスとして、まず安全を確保したい対象に対して、それに対するリスクがどれくらいなのかを見積もる。その上で「許容できない」レベルはどれくらいなのかを求め、それを超えないようにすることで安全を確保している。そのために何重にも何かが起こった場合の保険をかけ、また何らかの根拠を提示して安全を「安全」らしく示す。しかし、この「安全」は科学的なデータに基づいていながらも不確定なところは推論や慣例で補うという一面がある。こうして定義された「安全」は多くの場合「基準値」によって決められている。
「科学的」に定義された「安全」の具体例として一日の塩分摂取量の基準値をあげる。食事摂取基準2015年版では、男性8.0g未満、女性7.0g未満を日本人の一日の塩分摂取量の目標としている。一方、世界保健機関が定めた基準では成人の食塩摂取量を5.0gとしている(日本高血圧学会, 「日本高血圧学会 減塩委員会」より)。日本の塩分摂取量の基準値と世界のそれとは大きく差があることがわかる。これは日本人の食事は伝統的に塩分が多いこと、それに慣れている日本人にいきなり世界基準の塩分摂取量の基準値を採用することは厳しいことを考慮して設定された基準値である。また、2010年の塩分摂取量の基準値は男性9.0g未満、女性7.5g未満であり、段階的に世界基準に近づけられている点も注目である。これは科学で言うところの「安全」がデータに基づいて提示されていながらも、一部日本の慣例に従って出されている例である。
次に「科学技術への市民参加」について整理する。社会に還元される科学技術は政治の場で扱われることもあるため、政治参加や民主主義も一つの科学技術への市民参加の形といえるが、ここでは市民の理解を深める観点から「参加」について整理する。
科学技術への市民参加で求められるのが科学技術コミュニケーションである。この科学技術コミュニケーションは主に二つに分類される。一つ目は情報の共有が主になるもので、単に情報を与えるものや市民同士の理解を深めることを目的としている。もう一つは共考・協働が主になるものである。専門家からいくつかの情報提供をして参加者同士で議論し、新しい価値観を見つけることや仲間意識を広げ、つながる場を設けることを目的としている。これらを通して市民が科学技術についての知識を得ることや市民が政策や科学技術に理解を示すこと、場合によっては現状の政治や科学技術に市民の意見が反映されることにつながる。
この科学技術コミュニケーションの具体例の一つとしてサイエンスカフェがあげられる。サイエンスカフェは市民がリラックスできる場所で科学技術に関する話題について議論することを目的としたものである。これは「情報の共有」を前提として「共考・協働」を目的としており、ディスカッションや対話を中心としている。
もう一つの具体例としてコンセンサス会議が上げられる。これは市民がある科学技術について専門家からいくつかの基本的な情報の提供を受けた上で評価するものである。そして、その評価を社会に広く公開して実際の社会での決定に訴えかけ、ほかの場所での議論を刺激することを目標にしたものである(若松征男, 2005)。これも「情報の共有」を前提とした上で「共考・協働」を目的としたものである。
ここまで科学における「安全」と市民理解の支えになると考えられる「科学技術への市民参加」の内容を整理したところで、科学における「安全」と市民の安全に対する理解のぶれについて考える。
私は科学技術について議論する上で一番重視されるべきは安全であると考える。科学における「安全」の具体例で日本の塩分摂取量の基準値をあげたが、この基準値決定の背景を知らない人は多いだろう。また、この事実が広く公開されることも少なく、身近な「安全」が科学技術コミュニケーションを通して議論される例も少ない。実感がわきにくい原子力発電や津波対策の堤防などの高度な技術についての「安全」だけではなく、塩分摂取量や賞味期限、交通安全といった身近な「安全」には科学と市民の理解の間に大きな解離があるように感じる。何も知らないのにやや不確定要素がある科学の「安全」は市民にとって本当に安全といえるのだろうか。不確定要素があったとしてもそのプロセスは分かりやすく市民に提示され、議論される余地が必要である。この科学の「安全」と市民の安全との解離を解決するためにはどうしたらよいのかを参加の観点から考察する。
科学の「安全」と市民の安全との解離を解決するための参加の方法は先ほども取り上げ、講義でも紹介されていた科学技術コミュニケーションである。しかし、講義で取り上げられていた「でこなび・参加型手法と実践事例のデータベース」によると1996年の「原子力政策円卓会議」にはじまり2012年に行われた討論型調査である「世界市民会議 World Wide Vies – 生物多様性を考える」で記録が途切れ、記録されているイベントは四十回ほどにとどまっている。また、地域にフォーカスしたものを除けば実施箇所はいずれも関東地方、特に東京に偏っており、日本の全市民に情報が共有されているとはいいがたい。また、扱っているテーマもエネルギー問題、BSE、ナノテクノロジーなど一般市民にはややなじみがないものが多く、先ほどあげたような身近な科学技術における「安全」についての議論は少ない。
このような現状を考えると市民参加を講義で紹介されたような方法で行うのはすでに限界が近いだろう。その問題点を二点あげる。
一点目はこのような現地参加型のイベントでは興味のある人しか集まらないことである。情報があふれた現代では人は基本的に自分が興味を持つものにしか惹かれず、多くの市民に正しく科学における「安全」について考えてもらうことは難しいといえるだろう。
二点目は参加型というスタイルがそもそも時代に合っていない可能性があることである。「でこなび・参加型手法と実践事例のデータベース」で紹介されていた事例は多くのものが東京に集中しており、地方の人は参加が難しい。また、何でもインターネットで検索すれば分かるという時代になった今、分からないことに対してわざわざある場所に赴いて議論しようという考えはなくなりつつある。これはSNSなどで自分の意見を気軽に発信し、様々な情報を気軽に得られるようになったことが如実に示している。
以上の現状と問題を踏まえた上で市民が科学技術、特に科学における「安全」について理解を深めるためにSNSを活用したオンライン参加型のコンテンツを提案する。
一点目にあげた、人を選ぶという問題は市民の目にいかに触れさせるかによって解決する必要がある。その一つの解決策がSNSを用いた拡散である。講義でも紹介された「#検察庁法改正案に抗議します」はTwitter上でここ最近では一番の盛り上がりを見せた。これによって政治にまったく関心がなくても、何かしらの媒体で検察庁法改正案について調べる人がいただろう。SNSで科学における「安全」について発信した場合、身近で親しみやすく、考えたことはないが気になるという話題が中心になる。「日本の塩分摂取量ははっきりとした根拠がなかった!?」のような、ついついクリックしてしまいそうな書き方をすれば豆知識を教える感覚で伝えるべき科学の「安全」が広まっていくだろう。どのように多くの人の目に触れさせるか、どのように関心を集めるかには課題が多く残るが、この時代のSNSの拡散力は絶大なものであることは事実である。
二点目の問題であげた現地参加型についての問題はオンライン参加型という方法でアプローチする。オンラインなら少しでも興味を持てば気軽に参加できることはもちろん、宣伝も容易でほかの人を誘いやすいというメリットもある。幸か不幸かコロナウイルスの影響で会議や授業、飲み会を含め今まで対面で行うことが当然とされていたことがオンラインで行われる風潮が広がっている。さらに、将来的に5Gが普及すればより快適になることも期待できる。
科学技術が発展すれば発展するほど生活は豊かになっていくが、その反面高度な知識を必要とする。科学を発展させると同時に市民に合わせた的確な説明が必要であり、特に安全に関しては最も重要な項目であると考える。まずは身近な話題から科学における「安全」と市民にとっての安全の感覚を近づけていくことができれば、そのうち同じような手法を用いて高度な科学技術に関する参加も可能になるかもしれない。全員が納得して物事を進めるという民主主義の観点からも、市民の親しみやすい話題から国家に意見が届きやすい環境をつくっていくことが求められるだろう。
参考文献
平川秀幸, 科学技術社会論入門講義資料, 「科学技術に市民はどう関われるのか? ―〈参加〉の方法論―」, 2020年5月28日.
岸本充生, 科学技術社会論入門講義資料, 「『安全』の決め方 科学と社会をつなぐ」, 2020年5月14日.
村上道夫, 永井考志, 小野恭子, 岸本充夫著, 『基準値のからくり』, 講談社, 2014.
若松征男, 「コンセンサス会議と日本での試み」, 『PI Forum』1(2), 2005, 23-7頁.
ISO/IEC GUIDE 51, “Safety aspects - Guidelines for their inclusion in standards”, 2014.
でこなび 参加型手法と実践例のデータベース, 「参加型実践の事例集」, < http://decocis.net/navi/case/index.php?page=all >, (2020年6月13日閲覧).
日本高血圧学会, 「日本高血圧学会 減塩委員会」, < https://www.jpnsh.jp/com_salt.html >, (2020年6月13日閲覧).
長々とありがとうございました。参考文献を早く書く方法を紹介します!
概要:解説に入る前に
今までこのブログで紹介してきたレポートの書き方シリーズで間違いなく最長かつ最難だったと思います。
ここから抽象的なレポートの書き方を解説するにあたってこのレポートの概要を説明します。
授業の内容が科学技術の現代社会への応用だったので、比較的素人でも情報を探しやすい「安全」に関するテーマでレポートを作成しました。
科学で定義されている「安全」と私たち一般人が考える安全には解離があることに注目してその具体例や問題点をあげる形になっています。
まずはレポートの構造を書いていきます。
(序論)
導入・問題提起
前提事項共有
(本論1)
問題の内容1→具体例
問題の内容2→具体例
(本論2)
問題の考察
主張→裏付け
問題点
提案
(結論)
まとめ
今回はレポートの指示である
授業全体を通して特に興味をもったことについて以下の2点
ー問題提起:何に興味を持ったか、どのような内容であったか
ー議論 :その問題についてどのように考えるか
に答えるために前半に問題提起(何か、どんなことか)をまとめ、後半に議論(どう考えたか)という構造でレポートを書いています。
抽象的で難しいレポートを書くときにも基本的には序論、本論、結論という基本構造は変わりません。
今回は本論が2パートに分かれて書かれていると考えてください。
それではここから各項目に分けて解説しながら抽象的なレポートを書くときのコツを紹介します。
導入・問題提起(序論)
まずは導入です。レポートで一番大切なのは間違いなく導入です。
ここに何を書くかによって今後自分がどんな議論を展開させるかの指針が決まってしまいます。
言ってみれば抽象的で難しいレポートを書くときには、最初の一文にいかに自分が書きやすい内容を書くかが今後の書きやすさを左右するわけです。
今回は科学で定義されている「安全」と私たち一般人が考える安全の解離という二項対立を取り上げました。
以前 【書評レポートの書き方】大学生必見!本の読み方やテンプレも分かりやすく解説 でも説明しましたが、レポートを書くとき、議論をするときには比較できるものがあると説得力が出ます。
今回は、科学で定義されている「安全」と私たち一般人が考える安全の2つを比較対象に出して進めていきます。
また、抽象的なレポートを書くときにはなるべく具体例の浮かびやすいものを設定すると楽になります。あとで文字数稼ぎにもなりますしね笑
今回「安全」というテーマを設定した理由は、科学のなかでも比較的私たち一般人でも実感が分かりやすく、参考文献で使った本に安全に関する具体例がたくさん載っていたためです。
講義を通して科学における「安全」と市民の安全に対する理解に関心を抱いた。この二つの間には解離があり、身近な「安全」も市民の考える安全とは異なる可能性があると考えた。まずは科学における「安全」と市民の理解の支えになると考えられる「科学技術への市民参加」の二点の内容を整理する。
まとめるとこのようになります。レポートの指示に答え、何に興味を持ったか、何が問題か、何についてこれから論を展開していくかを書いていきます。
ここでは『科学における「安全」』と『市民の安全』の安全に「かぎかっこ」の違いがあることに気づいたでしょうか。
「かぎかっこ」は一見そう思えるけど実はそうではない概念を表すときに使うことがあります。
今回は科学と市民を比較していく上での安全の解離について述べるので「かぎかっこ」 で区別をしています。
ポイント
- 抽象的でもなるべく自分が書きやすいものを冒頭で指定する
- 比較できそうな二つのものを並べて構成を考える
- 具体例が多そうなテーマを選ぶ(具体例で文字数稼ぎをするため)
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前提事項共有(序論)
抽象的なレポートの場合、とくに言葉などが専門的になる場合は前提事項の共有を序論に挟み込みます。
これから議論を展開して行くにあたって読み手が理解するための言葉の整理と考えてください。
難解な言葉がなく、とくに説明を不要だと思った場合は飛ばしてもかまいません。
今回は「安全」という言葉の定義がややこしくなっています。
具体的な資料を上げながら簡潔に整理して前提となることを共有しましょう。
まず、科学における「安全」について整理する。国際的な安全規格に関する「ガイド51」によれば科学における「安全」は「許容できないリスクがないこと」と定義されている。この定義をもとにまずは科学における「安全」がどのようなものかを明確にする。
まとめるとこんな感じです。事実を並べるだけなので特別難しいことはないかと思います。
ポイント
- 言葉や定義が複雑な場合は前提事項として共有する
- 理解に苦しむ事柄がなければ省略してよい
問題の内容1(本論1)
ここからいよいよレポートの指示
ー問題提起:何に興味を持ったか、どのような内容であったか
これにのっとって内容を整理していきます。
序論で
まずは科学における「安全」と市民の理解の支えになると考えられる「科学技術への市民参加」の二点の内容を整理する。
と、比較する科学における「安全」とそれに関連する「科学技術への市民参加」と述べたので、その二つを本論1で展開していきます。
まずは科学における「安全」について定義的な側面から整理します。
安全を確保するプロセスとして、まず安全を確保したい対象に対して、それに対するリスクがどれくらいなのかを見積もる。その上で「許容できない」レベルはどれくらいなのかを求め、それを超えないようにすることで安全を確保している。そのために何重にも何かが起こった場合の保険をかけ、また何らかの根拠を提示して安全を「安全」らしく示す。しかし、この「安全」は科学的なデータに基づいていながらも不確定なところは推論や慣例で補うという一面がある。こうして定義された「安全」は多くの場合「基準値」によって決められている。
なにやら長々と書いていますが、科学における「安全」とは何か、を説明しただけです。
これは授業の資料を見ながら整理しただけなので、そこまで難しいことはしていません。
今までの記事でも何度か書いていますが、私たちの目的はレポートを提出することであり、決して内容を理解することではないので、授業の資料に書いてあった内容をただ淡々と制していくだけでもまったく問題はないのです。
さて、抽象的なレポートを書くときのコツとして
定義→具体例、あるいは、抽象→具体
という流れを意識しましょう。
抽象的なレポートというのは基本的に素人が読んでも分からないのです。
それを補強するためになるべく具体的な内容を詰め込むことで分かりやすく、説得力のあるレポートができます。
そして具体例は文字数稼ぎにもなります。
そんなわけで具体例を整理しました。参考文献にあった本から内容を抽出しています。
「科学的」に定義された「安全」の具体例として一日の塩分摂取量の基準値をあげる。食事摂取基準2015年版では、男性8.0g未満、女性7.0g未満を日本人の一日の塩分摂取量の目標としている。一方、世界保健機関が定めた基準では成人の食塩摂取量を5.0gとしている(日本高血圧学会, 「日本高血圧学会 減塩委員会」より)。日本の塩分摂取量の基準値と世界のそれとは大きく差があることがわかる。これは日本人の食事は伝統的に塩分が多いこと、それに慣れている日本人にいきなり世界基準の塩分摂取量の基準値を採用することは厳しいことを考慮して設定された基準値である。また、2010年の塩分摂取量の基準値は男性9.0g未満、女性7.5g未満であり、段階的に世界基準に近づけられている点も注目である。これは科学で言うところの「安全」がデータに基づいて提示されていながらも、一部日本の慣例に従って出されている例である。
こちらも言ってみれば本の内容を要約して書いただけです。説明したことの補強ができれば具体例は十分な役割を果たしたと言えるでしょう。
抽象的なレポートを書くときは
定義→具体例、抽象→具体
いずれかの方法を使うことを参考に文章を書いてみてください。
ポイント
- 抽象的で分からないことは先人の知恵をパクる
- 定義→具体例、抽象→具体の流れで具体例をあげ、分かりやすくする
- 具体例で文字数稼ぎをする
好きな漫画を使ってレポートを書きなさい、と言われたので、書きました。
問題の内容2→具体例(本論1)
この項目では「問題の内容2」として序論で定義した
まずは科学における「安全」と市民の理解の支えになると考えられる「科学技術への市民参加」の二点の内容を整理する。
この中の後者、「科学技術への市民参加」という項目について整理することになります。
内容こそ違えどやっていることは「内容を整理する」ということなので先ほどとプロセスは変わりません。
こちらも授業資料を使って内容をそのまままとめていきます。
次に「科学技術への市民参加」について整理する。社会に還元される科学技術は政治の場で扱われることもあるため、政治参加や民主主義も一つの科学技術への市民参加の形といえるが、ここでは市民の理解を深める観点から「参加」について整理する。
科学技術への市民参加で求められるのが科学技術コミュニケーションである。この科学技術コミュニケーションは主に二つに分類される。一つ目は情報の共有が主になるもので、単に情報を与えるものや市民同士の理解を深めることを目的としている。もう一つは共考・協働が主になるものである。専門家からいくつかの情報提供をして参加者同士で議論し、新しい価値観を見つけることや仲間意識を広げ、つながる場を設けることを目的としている。これらを通して市民が科学技術についての知識を得ることや市民が政策や科学技術に理解を示すこと、場合によっては現状の政治や科学技術に市民の意見が反映されることにつながる。
正直に言って、自分でもこの部分一度読んだだけでは何を言っているのか分かりません。
でもそれでいいのです。授業の資料の内容をそのまま持ってきただけなので、先生には伝わります。
大事なのは内容を具体化することです。
先ほど項目で
定義→具体例、抽象→具体の流れ
この流れを意識するとまとまることを説明しました。
先ほどは具体例を上げましたが、今回は「抽象→具体の流れ」を使っています。
具体的な事象を上げながら「抽象」でまとめた内容を分かりやすく言い換えている、と考えてください。
実際にまとめるとこのようになります。
この科学技術コミュニケーションの具体例の一つとしてサイエンスカフェがあげられる。サイエンスカフェは市民がリラックスできる場所で科学技術に関する話題について議論することを目的としたものである。これは「情報の共有」を前提として「共考・協働」を目的としており、ディスカッションや対話を中心としている。
もう一つの具体例としてコンセンサス会議が上げられる。これは市民がある科学技術について専門家からいくつかの基本的な情報の提供を受けた上で評価するものである。そして、その評価を社会に広く公開して実際の社会での決定に訴えかけ、ほかの場所での議論を刺激することを目標にしたものである(若松征男, 2005)。これも「情報の共有」を前提とした上で「共考・協働」を目的としたものである。
実はこれも授業資料の内容を使ったものです。授業の内容から「抽象→具体」の流れを見つけてそのまま書いていっても十分な説得力がでます。
ポイント
- 抽象的なレポートの「抽象的な部分」は理解できていなくても「正しいこと」を書けばよい
- 授業資料の内容を写すだけでもいいので、「抽象→具体」の流れを入れ込む
問題の考察(本論2)
今回は抽象的な内容のレポートでありながらも比較的テーマ設定が自由に行えます。
今までの(本論1)では内容を整理してきたものになっています。つまり、事実を並べただけです。
ここからは方針を変え、考察パートに入ります。考察をするためにはまずは問題を設定する必要があるので「どんな問題を考察するのか」を明確にします。
ここまで科学における「安全」と市民理解の支えになると考えられる「科学技術への市民参加」の内容を整理したところで、科学における「安全」と市民の安全に対する理解のぶれについて考える。
ポイント
- テーマや方針を変えるときは「ここから何を書くか」を宣言する
- 「今まで○○を話題に上げたのでここからは△△について」とつなげるとスムーズ
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主張→裏付け(本論2)
考察なので、ここでは今までまとめてきた内容をもとに素直な反応を述べていきます。
このときはなるべく読み手が「ああ、そういえば」と思えるような内容を羅列して論理展開を組み立てていきます。
私は科学技術について議論する上で一番重視されるべきは安全であると考える。科学における「安全」の具体例で日本の塩分摂取量の基準値をあげたが、この基準値決定の背景を知らない人は多いだろう。また、この事実が広く公開されることも少なく、身近な「安全」が科学技術コミュニケーションを通して議論される例も少ない。実感がわきにくい原子力発電や津波対策の堤防などの高度な技術についての「安全」だけではなく、塩分摂取量や賞味期限、交通安全といった身近な「安全」には科学と市民の理解の間に大きな解離があるように感じる。何も知らないのにやや不確定要素がある科学の「安全」は市民にとって本当に安全といえるのだろうか。不確定要素があったとしてもそのプロセスは分かりやすく市民に提示され、議論される余地が必要である。この科学の「安全」と市民の安全との解離を解決するためにはどうしたらよいのかを参加の観点から考察する。
単に自分の意見を述べるだけでは説得力に欠けるため、主張のあとには何かしらの説得力のある論拠を続けていきます。
このときは数値として示されるデータを提示する、何かの資料を引用する、あるいは
【書評レポートの書き方】大学生必見!本の読み方やテンプレも分かりやすく解説 でも紹介したような「比較の視点」を使って文章を組み立てます。
科学の「安全」と市民の安全との解離を解決するための参加の方法は先ほども取り上げ、講義でも紹介されていた科学技術コミュニケーションである。しかし、講義で取り上げられていた「でこなび・参加型手法と実践事例のデータベース」によると1996年の「原子力政策円卓会議」にはじまり2012年に行われた討論型調査である「世界市民会議 World Wide Vies – 生物多様性を考える」で記録が途切れ、記録されているイベントは四十回ほどにとどまっている。また、地域にフォーカスしたものを除けば実施箇所はいずれも関東地方、特に東京に偏っており、日本の全市民に情報が共有されているとはいいがたい。また、扱っているテーマもエネルギー問題、BSE、ナノテクノロジーなど一般市民にはややなじみがないものが多く、先ほどあげたような身近な科学技術における「安全」についての議論は少ない。
今回はインターネット上に記録している会議の回数、つまり数値を使って論拠を示しました。
慣れないうちは論拠となる情報の検索も大変ですが、使えるデータを根気よく探しましょう。
ポイント
- 方針を変えるときは何について述べるかを明確にする
- 自分の主張が何かを最初に示してあとに理由や背景を述べる
- 自分の主張に説得力を持たせるための客観的な論拠を述べる
- 論拠は数値データ、資料引用、比較などを通して行うとよい
問題点(本論2)
ここからは主張を通して何を言いたいかを述べていきます。
先ほどの「主張」で述べたことから自然に考えられることを簡潔に示します。
このような現状を考えると市民参加を講義で紹介されたような方法で行うのはすでに限界が近いだろう。その問題点を二点あげる。
ここで述べた問題点、理由が何かを具体的に述べます。
扱っている内容は異なりますが、ここでも抽象的に書いてから具体的な説明で補強しています。
この流れは内容が自然に読み手に伝わるので、書くときにテンプレ化しておくとよいでしょう。
一点目はこのような現地参加型のイベントでは興味のある人しか集まらないことである。情報があふれた現代では人は基本的に自分が興味を持つものにしか惹かれず、多くの市民に正しく科学における「安全」について考えてもらうことは難しいといえるだろう。
二点目は参加型というスタイルがそもそも時代に合っていない可能性があることである。「でこなび・参加型手法と実践事例のデータベース」で紹介されていた事例は多くのものが東京に集中しており、地方の人は参加が難しい。また、何でもインターネットで検索すれば分かるという時代になった今、分からないことに対してわざわざある場所に赴いて議論しようという考えはなくなりつつある。これはSNSなどで自分の意見を気軽に発信し、様々な情報を気軽に得られるようになったことが如実に示している。
ここでも先ほどと同様に客「観的に分かること」で文章を組み立てていきます。
上記の例ではサイトに書かれていた開催場所、現代の情勢から分かる当たり前の状況の二点から文章を組み立てています。
ポイント
- 問題点を述べるときにも抽象→具体の流れを意識する
- 最初に主張を簡潔に述べてあとから具体的に補強する文章を続ける
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提案(本論2)
抽象的で何を書いたらよいか分からない文章の場合におすすめなのが「提案」です。
提案は完全に自分のオリジナルな考えを述べるだけでよいので、本当に問題を解決をするか分からなくても「私はこう思う」という思いを文章で表現できれば簡単に書けるからです。
最低限自分でリストアップした「問題点」はクリアするようにしましょう。
今回のように問題点にフォーカスして自分の提案がどのように問題にアプローチしていくのもよいでしょう。
以上の現状と問題を踏まえた上で市民が科学技術、特に科学における「安全」について理解を深めるためにSNSを活用したオンライン参加型のコンテンツを提案する。
一点目にあげた、人を選ぶという問題は市民の目にいかに触れさせるかによって解決する必要がある。その一つの解決策がSNSを用いた拡散である。講義でも紹介された「#検察庁法改正案に抗議します」はTwitter上でここ最近では一番の盛り上がりを見せた。これによって政治にまったく関心がなくても、何かしらの媒体で検察庁法改正案について調べる人がいただろう。SNSで科学における「安全」について発信した場合、身近で親しみやすく、考えたことはないが気になるという話題が中心になる。「日本の塩分摂取量ははっきりとした根拠がなかった!?」のような、ついついクリックしてしまいそうな書き方をすれば豆知識を教える感覚で伝えるべき科学の「安全」が広まっていくだろう。どのように多くの人の目に触れさせるか、どのように関心を集めるかには課題が多く残るが、この時代のSNSの拡散力は絶大なものであることは事実である。
二点目の問題であげた現地参加型についての問題はオンライン参加型という方法でアプローチする。オンラインなら少しでも興味を持てば気軽に参加できることはもちろん、宣伝も容易でほかの人を誘いやすいというメリットもある。幸か不幸かコロナウイルスの影響で会議や授業、飲み会を含め今まで対面で行うことが当然とされていたことがオンラインで行われる風潮が広がっている。さらに、将来的に5Gが普及すればより快適になることも期待できる。
つらつらと理想論を並べたような提案が続いています。
私は特にこの提案を実行したいとも思いませんし、実際問題本当にこの提案がうまく作用するかも分かりません。
それでも自分であげた問題点さえクリアしていれば読み手には自然と論理的に思えます。
特に参考資料などの客観的データを示さなくても「自分はこう思う」が論理的に示されていれば十分なので、抽象的で何を書いたらよいか分からないときや字数が多いときは積極的に提案を書いてみましょう。
ポイント
- 提案は文献不要でも説得力が出る
- 文字数稼ぎ、自分の主張の展開がしやすい
- 自分で設定した問題事項さえクリアしていれば理想論を語っても大丈夫
まとめ(結論)
最後にまとめです。
まとめで述べることはどのレポートでも同じで、今まで述べてきたことをすべて含めるように簡潔に語ればそれで大丈夫です。
難しいな、と思う方はぜひ自分がこのレポートで一番主張したかったことは何かを考えてみてください。
それらの主張を簡潔に言い換えながら続けていけば自然なまとめになるはずです。
科学技術が発展すれば発展するほど生活は豊かになっていくが、その反面高度な知識を必要とする。科学を発展させると同時に市民に合わせた的確な説明が必要であり、特に安全に関しては最も重要な項目であると考える。まずは身近な話題から科学における「安全」と市民にとっての安全の感覚を近づけていくことができれば、そのうち同じような手法を用いて高度な科学技術に関する参加も可能になるかもしれない。全員が納得して物事を進めるという民主主義の観点からも、市民の親しみやすい話題から国家に意見が届きやすい環境をつくっていくことが求められるだろう。
ポイント
- 今まで述べてきたことをすべて包含する内容を簡潔に書く
- 自分の「言いたいこと」を抽出してそれを簡潔に文章化する
抽象的・難しいレポートのポイント
全部で4000字弱のレポートでしたが、難しそうでも書いていることは意外と単純なことにお気づきいただけたでしょうか。
最後にポイントを書いておきます
- 抽象的な内容は自分なりに租借して書けそうなテーマに絞って書く
- 難しい指示は自分が分かるところまでレベルを下げて書く
- 字数が長いレポートの場合は具体例を使って字数を稼ぐ
- 抽象→具体の流れを意識して、抽象的な内容がだれでも自然に解釈できるような構成を意識する
- 自由度が高い支持の場合は提案を入れると楽
抽象的、難しい、長いレポートの場合でも自分が書きやすいように租借していけばなんてことはありません。
やっていることは単純で、自分なりに解釈して、書きやすそうな内容で論を進めていけば自然に書けてしまいます。
期末にはレポートラッシュが待っていると思います。
ぜひ日頃からレポートのコツを意識して抽象的で難しいレポートも時間をかけずにかけるようになりましょう。
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