サンプルセレクティングバイアスという言葉をご存じでしょうか。
以前 その調査、正確じゃないかも! 「女性の気持ち」と「楽単」をサンプルセレクティングバイアスから考えるとどうなるか でも紹介しました。
簡単に解説をすると、ある調査をするときに、選んだサンプルの考え、特徴に偏りがあったため、正しい結果が得られない、というものです。
前回紹介した阪大で販売されている冊子「クロバス」が良い例でした。
クロバスを作るときに使うアンケートでは受講者の思考に偏りがあるため、正確に講義が「楽単」であるかどうかは分からない、ということでした。
今回はそんなサンプルセレクティングバイアスの見方を少し変えて考えてみます。
インターネット検索とサンプルセレクティングバイアスをもとに考えていきましょう。
ネット検索は偏りのある調査である
何か分からないことがあったときにはインターネットで調べると思います。
ネットの情報は100%正しいことではない、嘘の情報も多く紛れているから、過信してはいけない。
これは今や学校教育でも言われるようになっていることです。
しかし、ネットの情報の中には正しい、正しくない、では判断できないものが多くあります。
それが「ノウハウを教えるサイト」です。
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ジャンルは様々ですが、インターネット上にはこのような「ノウハウを教えるサイト」が無数に存在しています。
私がメインで書いている(はずの)阪大外語攻略の記事も「ノウハウを教えるサイト」に該当するわけです。
私たちが何かのノウハウを知りたい、と思ってインターネットを使って「調査」をした場合、それはたくさんあるノウハウの中から調査、抽出をしていると考えることはできないでしょうか。
そう考えると、その情報はある方法を使ってたまたま成功した人が書いたバイアスがかかった記事である、と見なすことはできないでしょうか。
これらの記事の多くはその人の経験、成功体験に基づいて書かれています。
(書籍を出版する、となると、それだけでは通用しなくなる側面があるので、ここではインターネットの記事に絞ります。)
成功を実際に修めた人が書いている訳なので、その情報は内容としては「正しい」と仮定しましょう。
しかし、その場合は執筆者にとっては正しい、というだけで普遍的に正しい、正確、万人に適している、とはいえなくなるわけです。
この情報のことを、当人にとっては正しい情報、としましょう。
原因は、と強いてあげるとすればGoogleなどの検索エンジンでしょうか。
私のようなブログを書いている人にとっては永遠の課題ですが、SEO対策をすることによって、検索順位を上げることが可能です。
非常に難しいプロセスではありますが、上手にSEO対策を行えばGoogleに検索上位に表示させることは「簡単に」できてしまいます。
質の良い記事が評価される、とは言いますが、必ずしもそれが万人にとって正しいわけではないのです。
つまり、私たちが行う検索、すなわちGoogleによる評価の結果は、常にサンプルセレクティングバイアスがかかっている、といえるのです。
ネット記事を否定する
ここからはサンプルセレクティングバイアスに基づいて、ネットにありそうな記事を考えてみます。
私が管理しているこのブログも広義では「ノウハウを教えるサイト」にあたります。
自分で自分の首を絞めるような内容にはなりますが、それでも批判的思考を持って考えてみます。
ブログ経営のノウハウ ○○万円稼げる!?
ブログを経営している方はこれらの記事を見たことがある方が多いと思います。
それらの記事の中には○○日続ければ○○万円稼げる!
といった文句は多くあります。
そんなおいしい話はないだろう、と分かっていつつも、アフィリエイトを目指す人はそれらのサイトを参考にしながら記事を書くわけです。
ここで考えてほしいのがサンプルセレクティングバイアスです。
Google検索の上位に表示されるブログノウハウのサイトはPV数(アクセス数)が多く、収益を得ているサイトです。
そんなサイトに「ブログは儲かる」といわれてもいささか説得力に欠けるのではないでしょうか。
私たちや検索エンジンで「調査した」内容は
ブログで実際に稼いだ人ばかりが書いた記事による「ブログは稼げる」発言です。
下手な話、東大合格者ばかりの集団を対象に「頭はいいですか」と聞いているようなものです。
実際に検索上位に表示されている人の記事は質が良く、決して間違ってはいないのです。
怖いところはGoogleの検索によって、自動的にバイアスがかかった集団が抽出されている、と言うことです。
勉強のノウハウを教えるサイト ○○大学に合格した方法
ここからいよいよ自分の首を絞める内容を書いていきます。
なにより、このブログのメインは勉強のノウハウを教えているからです。
結論からいいましょう。
結局の所これらの記事も、○○大学に入るレベルがもともとあった人が口をそろえて「○○大学にはこうすれば入れる」と言っているに過ぎません。
私は阪大外語合格、という経験のもと阪大外語合格のノウハウをお伝えしていますが、他人から見れば「たまたま阪大に入った人がたまたま使った方法を伝授しているだけ」ともいえてしまうわけです。
不公平なもので、頭が天才的に良い人もいればそうでない人もいます。
自分ではどうかは分かりませんが、○○大学に入るような人は○○大学に入るだけの能力を元から持ち合わせていた、どこか頭のねじがおかしい存在だった、ともいえてしまうわけです。
そんな人のアドバイスを聞いて、信用はどれほどあるでしょうか(←自分で書いてて心が折れそうです)
結局はそこにもバイアスがかかっているわけです。
私を始め、多くのブログ経営者は自分の記事をアピールするために多くの工夫を凝らします。
それがGoogleに評価されてその結果検索上位に表示された、それだけに過ぎません。
ネットの記事は参考にするもの
今まで説明してきたとおり、検索によるサンプルセレクティングバイアスは常にかかるものです。
ここで重要なことはインターネットの記事を参考にする、という考え方を常に持ってほしいと言うことです。
参考にした内容を自分なりに加工して取り入れていき、自分に合う方法を見つけ出すことができれば、そのときインターネットを使った記事検索、調査はうまくいったといえるのではないでしょうか。
情報には正しい、正しくない、のほかに、当人にとっては正しい、という情報が含まれています。
SEO対策をするだけで、意図もたやすく検索上位に「当人にとっては正しい」情報が入ってくることを意識することが大切です。
前回のサンプルセレクティングバイアスの記事はこちら(かなりライトです)
本来の記事の雑談トピックはこちら