大阪府立大学と大阪市立大学の統合によって新設される大学の英語名が「University of Osaka」と発表されました。
それに対してこの英語名称は大阪大学(Osaka University)と紛らわしい、とここ数日話題になっています。
総長名義の声明が発表されていることもあって、何だかことが大きくなっています。
私自身も一応大阪大学の学生として阪大の受験や生活について書いているライターの立場から、今回話題になっている英語名称についてまとめつつ考察していこうと思います。
……と同時に、今現在阪大生である私自身の観点も含めて書いていきたいと思います。
英語名称問題
6月26日に新大学の名称を「大阪公立大学」、英語名を「University of Osaka」とすることが発表されました。
それに対して大阪大学から発表された 公立大学法人大阪が設置する新大学の英語名称について では
本学の英語名称「OSAKA UNIVERSITY」は、長年にわたり使用している名称であり、海外においても広く認識され、定着しているところです。(中略)結果として、双方の間で意見交換が行われないまま決定がなされたことは誠に残念でなりません。
(大阪大学公式HPより)
と大阪大学の総長から声明が出されています。
私自身阪大の総長に対するイメージってそこまでありません。基本的に入学式で一度遠くから顔を拝むだけですし、それ以外で一学生でしかない私が関わることはありません。
私の入学した年が阪大で入試ミスが発覚した翌年でしたので、総長が祝辞の冒頭で
「この度は入試にミスが見つかってしまい、大変申し訳ありませんでした」
と言っていたことしか覚えていません。
ここに来て総長の名前が大々的に話題になるとは思ってもいませんでした。
アイキャッチ画像について
先ほど紹介した 公立大学法人大阪が設置する新大学の英語名称について では「大阪大学」の文字があるアイキャッチ画像が使用されています。
私が最初にこのニュースを見たときに注目したのがこのアイキャッチ画像でした。
グーグルマップでも確認してみたのですが、おそらくこれ大阪大学の箕面キャンパスではないかと思います。
箕面キャンパスは11ある大阪大学の学部の中で外国語学部の学生だけが通うキャンパスです。
1学部しか使っていないキャンパスなので、間違いなく訪れる人が一番少ないキャンパスです。
そしてアイキャッチ画像はその箕面キャンパスの中でも利用者が最も少ないと思われる門ではないかと思います。
もっと人が大きくて立派な吹田キャンパスの正門の画像とか別の画像を使おうとはしなかったのかな~とか見ながら思っていました。
英語表記も書いてあり、シンプルな表示であることから消去法的に我が箕面キャンパスが選ばれたのではないかなと思います。
こちらも大阪大学の名物。合わせてご覧ください。
6月29日の阪大の声明
6月29日に大阪大学は公式HPにて 「University of Osaka」が大阪大学の英語名称として使用されている実態 として声明を発表しました。
私もこの声明読みましたよ。。。
……何というか阪大の必死感が伝わってきます。
「University of Osaka」が大阪大学の英語名称として海外の大学で広く使われている事象がこれでもか、というほど書かれていました。
① 「University of Osaka」は、大阪大学(Osaka University)と同義であるとすでに認知されており、これまでにも海外で広く使われてきた。
② 「University of Osaka」は学術論文や学術書においても、大阪大学の英語名として長期間使われてきた。
③ 英語圏以外でも、「Osaka University」と「University of Osaka」を区別できない例がある。
④ 一般市民が大学についての情報を得る際には、インターネットが極めて大きな役割を果たすが、ネット上では「Osaka University」、「University of Osaka」はリンクされ、常に相互参照可能となっている。
(大阪大学公式HPより)
主にこの四つの事実に大量の根拠を加えて力説しています。
よくやるな……と読んでいて思いました。
とりあえずこの主張について個人的な意見を述べていきます。
① 「University of Osaka」は、大阪大学(Osaka University)と同義である
まずはこちらについてです。
阪大の声明によれば海外の大学ではすでに「University of Osaka」と表記して大阪大学を示すとされています。
英語をそれなりに学んだ立場として「University of Osaka」を直訳すれば確かに「大阪の大学」ともなってしまうのですが、それでも「University of Osaka」で大阪大学と認知されている事実もまあ納得できます。
英語のレポートで「大阪大学」と表記する場合には「Osaka University」と表記するように指導されました。
また、外国語学部で言語を勉強している立場ですが、私が自己紹介をするときには「Osaka University」を使います。
それでも留学生の友達が「University of Osaka」と言ったら、まず私は大阪大学のことを思い浮かべます。
また、ドイツ語のネイティブの先生がドイツでは英語の「University」に相当する「Universität」をさきに書き、そのあとに固有名詞を続ける、というようなことを言っていました。
詳しく調べたわけではないので、はっきりと言えるわけではないのですが、「University + 固有名詞(大阪)」で大阪大学を英語表記する方法はすでに海外では一般的に広まっているのではないかと推測します。
その意味では「University of Osaka」が大阪大学と認知されているのも十分納得できます。
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② 「University of Osaka」は学術論文や学術書においても、大阪大学の英語名として長期間使われてきた。
いくつか論文を読むようになっていますが、私自身はまだ「University of Osaka」と表記する論文に出会っていないので、断言はできません。
ここでは詳しく述べずに声明を読んだときの素直な感想を述べたいと思います。
大阪公立大学が「University of Osaka」の大学名称で論文発表される事態となった場合には、それらの研究実績が大阪大学の成果として国際的に認知される(大学ランキング等でも大阪大学の実績としてカウントされる)ことになる可能性が高い。もちろん、このような事態は世界に羽ばたく両大学共に望むところではない。
(大阪大学公式HPより)
この部分に思うところがあります。
注目したいのが「大学ランキング」という言葉。ご存じの方もいるかもしれませんが、私が通う大阪大学は大学ランキングで旧帝大最下位にランクインしております。
まあ、ほかの旧帝大様などのレベルが高いことは間違いないのですが、事情を知る人間からすると、「大学ランキング」の話題は避けてくれた方がスマートだったのではないかな~と思いました。
③ 英語圏以外でも、「Osaka University」と「University of Osaka」を区別できない例がある。
阪大の必死さを一番感じた項目がこちらです。
中国の大阪大学同窓会、在学留学生、留学希望者に対し、緊急にオンラインアンケート調査(6月27日現在で147名から回答)を実施したところ、99%以上の回答が、「Osaka University」 と「University of Osaka」は、『混同しやすい』、『非常に混同しやすい』との意見であり……(以下略)
(大阪大学公式HPより)
いつの間にアンケートを採っていたんだ……
文献の調査や後述するインターネット記事の調査ならまだしもアンケートまでしていたことには関心というか、驚かされました。
そして注目したいのが「中国の大阪大学同窓会、在学留学生、留学希望者に対し」という文面。
確かに緊急であり、調査できる人も少なかったという背景もあると思うのですが、何かしら大阪大学に関係する人にアンケートをとったらそりゃこの結果がでるでしょ、というのが私の意見です。
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④ネット上では「Osaka University」、「University of Osaka」はリンクされ、常に相互参照可能となっている。
実際にGoogleで検索をかけてみると確かにトップに表示されるのは大阪大学でした。
これはブログを書いている人間からの意見なのですが、新しく作ったサイトを検索上位に表示させるのって本当に大変なんですよね。
あくまでこれは個人ブログの話であって、大学のような大規模な機関のウェブサイトでは事情が違ってくるのかもしれません。
それでもすでに「University of Osaka」で大阪大学がトップに表示されているのであれば、「University of Osaka」=「大阪大学(Osaka University)」と認知している人も多いでしょう。
そう思うと、やはり大阪公立大学の英語名称を「University of Osaka」とするメリットは薄いようにも感じました。
大阪大学と大阪公立大学
私自身の意見としては大阪公立大学の英語名称、「University of Osaka」は名前を変更してほしいな、と思います。
私はまだ一阪大の学部生でしかないので、大阪大学が問題視することは実感できないところがあります。
それでも少なくとも両大学で議論した上で分かりやすく、納得できる名称を考えていただきたいと感じました。
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